ホムンクルスは脱フラスコの夢を見るか

脱ニートを目指す絵描きな引きこもりが、主に週間・月間・年間ごとに振り返りを残すブログ。

#176 何も捨てることができない人には――

 ぶっちゃけ、こんな雑記を書いてる暇はないんですが。

 とはいえ、時に板タブのペンを握るだけの気力もなくなる時がありまして。

 その代わりにやることは他にもありつつ、しかしここ最近くすぶっている考え事があって、なんか消化してしまいたいな、と。

 

 そんなわけで、ただただ、吐き出したいものを吐き出すだけの雑記です。

 

「何も捨てることができない人には何も変えることはできないだろう」

 

進撃の巨人』のアルミンのセリフです。

 エルヴィンが調査兵団の仲間の命を犠牲に、女型の巨人捕獲を目論んでいることに気づいた時にこぼしたセリフ。

 

鋼の錬金術師』の、

「なにかを得るためには、同等の対価を支払わなければならない」

 という言葉に通ずるものを感じて、結構好きだったりします。

 ちなみにこれ、過去記事で何度か書いた憶えがあります。

 

 さて。

 上記に挙げた2つの文言が指し示すのは、等価交換。

 ほしいもの――なにかしらの現物だったり、立場だったり、状態だったり様々ですが、その価値が大きければ大きいほど、支払ったり、差し出したり、捨てなければいけない対価もより大きくなります。

 

 という前提を置いて。

 

 正直、この話をブログの記事にすべきか、悩みました。

 

 さすがに、他人をダシにした話を書くのはどうなんだ、と。

 読む側の受け取り用によっては、誹謗中傷に抵触してもおかしくないよな、と。

 クローズドなブログにしても、もしかしたらダシにした当人たちに読まれる可能性だってあるだろ、と。

 

 だから、くすぶっていたんです。

 もしかしたら過激な内容になるんじゃないか、と。

 ……いや、文面はなるべく穏やかにするつもりですが。

 

 で、結局書くことにしました。

 引きこもりニートの分際でと自覚しつつ。

 他人をダシにすることがどういうことかを考えつつ。

 最近成果を挙げて調子に乗り始めてるんじゃないか、と思われることを想像しつつ。

 

 というわけで、本題です。

 

 ……なにかを得ようとするなら、それなりの対価が必要になるよね、と。

 

 これは私事ですが。

 脱ニートをするために、イラストレーターとしてやりたい仕事をするには、それ相応の画力や知識が必要で。

 そのために、日々ひたすらイラストを描いて、市場のニーズを調査して、試行錯誤するために時間と労力を費やしています。

 

 時に、知識や技術を身に着けるために、書籍にお金を投じることもありました。

 令和2年に施工された、特別定額給付金

 住民基本台帳に記録された方を対象に、1人当たり10万円を給付した政策です。

 

 その時に得た10万円。

 おそらく、その半分以上の金額を、創作関連の書籍に投じたと思います。

 創作関連というのは、イラストに限らず、小説に関する書籍も含めて、です。

 

 とりあえずイラスト関連の書籍。

 冊子だけを数えてみたところ、20冊以上ありました。

 電子書籍はあまり買っていません。

 たぶん、片手で数えられる程度です。

 イラスト関連は主に技法書で、冊子の大きさで読みたかったり、パラパラめくる方が手軽だったりという理由で、冊子で買ってました。

 

 1冊だけ中古で、それ以外はすべて新品で購入しました。

 技法書の価格は基本的に2000円以上です。

 1冊2000円で20冊で考えれば、実に40000円。

 実際のところ、冊数も金額ももっとあるので、50000円は優に超えています。

 

 とりあえず、イラストの技術向上や知識習得のために、それだけの金額を投じました。

 加えて、イラストで稼ぐことを決めた日から、イラストのために時間を費やしてきました。

 引きこもりニートなので、1日あたり最低でも8時間以上。

 それを2年以上続けてきました。

 ペンをまったく握らなかった日は、片手で数えられる程度とはっきり言えます。

 1日8時間×2年(730日)で計算すれば、実に5840時間。

 

 これだけの投資をして、2022年にイラストの依頼を10件、どうにか達成できました。

 

 ……さて、ここから他人をダシにした話をします。

 ぶっちゃけ、後ろめたいです。

 とはいえ、求められてもいないのにそれを当人に投げかけるのはいらぬお節介。

 かといってツイッターでつぶやくのは、今の段階だと気が引けるというか。

 だとしたら……このクローズドなブログで吐き出してしまおうか、と。

 ――いや、ブログならいいってわけでもありませんが。

 まあ、吐き出すついでに、後々見返すために残しておこう、という意図もあったりします。

 

 そんなわけで、ここまでの長々とした話を踏まえつつ、ここからちょっと嫌な話をば。

 

 まず、今回ダシにする人たちについて。

 ツイッターで以前多少のやり取りをしたことのある、小説家志望の方々です。

「絶対書籍化する!」「書籍化したい」「書籍化作家になりたい」というツイートを時折していたり、プロフィールにそういった旨を描いていたりします。

 

 駆け出しイラストレーターが小説家志望者について言及するのか、って話ですが。

 ……今回は、「なにかになりたい」「夢を叶えたい」「目標を達成したい」という視点での話になります。

 

 ……さて、この方々。

 書籍化作家を夢や目標にしているだけあって、それなりに作品を書いています。

 とはいえ、僭越ながら思います。

 ――書籍化作家には、なれないだろうな、と。

 

 あくまで、ツイッターのツイートや、小説投稿サイトでの動向を見た上での見解だと、前置きします。

 

 ツイッターや投稿サイトでの活動の様子を見るに、書籍化作家になるための行動を取っているようには思えません。

 ツイートを見かけるとたまに、心の中で目を細めます。

 本当に書籍化作家になりたい? と。

 

 新人賞だったり、投稿サイト経由での声掛けだったりと経緯は様々ですが。

 書籍化作家になる、とはどういうことか?

 

 ――出版社の売り上げに貢献できる商品(作品)を制作して提供する立場になる。

 

 これが書籍化作家だと、私は思います。

 だとすると、新人賞での受賞や、投稿サイト経由での声掛けというのは、作品を出版社の商品にして売りたい、という価値がついた、と考えるわけで。

 

 それを踏まえて深掘りすると、書籍化作家というのは、時代のトレンドや市場のニーズに合わせて商品を作るクリエイターです。

 

 トレンドやニーズにアンテナを張って、それを踏まえて作品を生み出し続けられるか。

 売れる作品にするために編集者とのやり取りを通してブラッシュアップできるか。

 作品が売れる、売れないに一喜一憂せず、コンスタントに活動に取り組み続けられるか。

 どんなキャラクターやストーリー構成なら読者を楽しませられるか、を勉強できるか。

 書籍化作家になった後のビジョンは?

 

 私は書籍化作家ではありません。

 もし目指すとしたら、上記のような事柄は意識します。

 加えて、創作のための時間と労力を確保します。

 

 引きこもりニートなら、時間が膨大にありますが。

 会社に勤めていたり、学校に通っていたりするなら、時間と労力の確保は必須です。

 

 10万文字(書籍1巻分)を、いつまで書き上げるのか。

 そのために1日何文字書けばいいのか。

 1週間あるいは1ヶ月あたり、何日執筆に充てるのか。

 執筆のためのプロットをどれだけ書き出すのか。

 といったスケジュールを組んで、こなしていくためにも。

 

 で、なんでスケジュールを組んでこなしていくか、いえば。

 出版社が出す書籍は、いくつかの工程を経ているからです。

 プロットを基に、その作品を商品として売り出していくかを決める会議。

 作品を商品としてブラッシュアップしていく編集者。

 作品の内容を確認して誤りを洗い出す校閲者。

 カバーや挿画を担当するイラストレーターやデザイナー。

 製本するための印刷所。

 できあがった作品を書店に送り届ける配送業者。

 ……と、思い浮かんだものを挙げてみました。

 実際はもう少しあるかもしれません。

 

 さておき、いくつかの工程というか、人手を渡って出版がなされるわけで。

 作家が締め切りを完全に破れば、発売までのスケジュールがすべて遅れます。

 だからこそ、スケジュール管理をしつつ、作品を書いていかないといけなくて。

 

 書籍1巻分(約10万文字)を書き上げたことがない。

 書籍1巻分で物語をまとめたことがない。

 スケジュールを決めて執筆しない。

 コンスタントに作品を発表しない。

 ……となると、書籍化作家になるのは厳しいだろうな、と。

 

 かつ、

「売れなくていいから書籍化したい」

「エタるので注意」

 なんてことを表に出していようものなら、仕事をお願いしたい(書籍化の打診)なんてとても思われないかな、と。

 

 そしてここで、冒頭のくだり。

 

「何も捨てることができない人には何も変えることはできないだろう」

「なにかを得るためには、同等の対価を支払わなければならない」

 

 書籍化したいなら。

 書籍化作家になりたいなら。

 そのために時間や労力を費やすと思います。

 

 娯楽の時間を削ったり、それに関わるものを手放したり。

 今どんな作品が売れている、読まれているのかを調べたり。

 ストーリーやキャラクターの構成のための勉強に投資したり。

 隙間時間に頭の中で物語を妄想したり。

 

 書籍化作家の誰もが、例えば決死の思いで作品づくりに励んでいる、なんて思いませんが。

 でも、なにかしら対価を支払ったり、なにかしらを犠牲にしていたりするのでは? と思います。

 元々創作ではない趣味に熱中していたとするなら、それを手放したり、とか。

 人付き合いが好きで、そのために時間やお金を費やしていたけどやめた、とか。

 

 別に、完全に手放さなくてもよくて。

 一時的に手放して、目標を達成することに集中して、達成して軌道に乗ったら、少しずつ取り戻していく。

 なんて道もあるわけで。

 

 そういう知識があるかどうかはさておいて。

 なにも手放せない、なにも切り捨てられない、なにも支払えない人に、なにかを成すことは厳しいだろう。

 と、50000円以上と5840時間以上を費やしてどうにかイラストの依頼を10件達成した駆け出しイラストレーターが僭越ながらに思います。

 

 

 ……どことなくえらそうな物言いになってしまったような気がしますが。

 とりあえず、ここ最近わだかまっていたものを吐き出すことができました。

 

 内容は書籍化作家志望になっていましたが、書いていて、言い方を変えればイラストレーターにも当てはまることがあるなー、と。

 トレンドやニーズにアンテナを張ったり。

 いつまでにイラストを完成させるかスケジュールを組んだり。

 コンスタントに作品を公開したり。

 とか色々と。

 ちょっと都合のいい話かもしれませんが、ある意味自戒にもなったんじゃないかと思います。

 脱ニートをして、イラストレーターとして活動し続けるためには……という意味で。

 

 

 ペンを持つ気力がなくて、息抜きがてらに軽く書ければいいと思っていたんですが、思った以上に長くなって、時間がかかってしまいました。

 8月も残り5日を切っていますし、次の月間報告までイラスト制作に専念しようと思います。

 

 では。