いつぞやの続きです。
以前、イラストレーターにおけるファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略について書きまして。
経験価値について書いた後、
続いてサービスについて書こうと思いましたが、
と書き残しつつ、気づいたら3週間経とうとしているので、このあたりでちゃんと書いておこうか、と。
少しおさらいをします。
ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略とは、
・価格
・サービス
・アクセス
・商品
・経験価値
の5つの要素の内、1つに特化、1つに優れればいい、というもの。
私は経験価値に特化、サービスに優れたイラストレーターとして売り込みたいと考えています。
『競争優位を実現するファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略』におけるサービスと経験価値の定義を再確認すると、以下の通り。
◎サービス
・顧客1人1人のニーズに応えて、商品やサービスをカスタマイズできる
・顧客に情報や知識を与える
◎経験価値
・顧客への心からの気遣いの示し方
・商品やサービスだからこそ得られるなにかの提示
そして、条件をより限定して、ココナラにおけるイラストレーターとしてのファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略はどんなものか、以下のように挙げました。
◎サービス
・幅広い絵柄、様々なスタイルに対応できるタッチ
・制作するカテゴリやクオリティに合わせた料金設定
◎経験価値
・取引の前中後における対応やサポートの柔軟さ、速さ、幅広さ
・料金以上の満足感、付加価値
それでは、サービスについて。
ココナラにおいて「サービスに優れる」とは、上述にあるように、依頼者のニーズに合わせた絵柄やスタイルを提供できる、制作するカテゴリやクオリティに合わせた料金設定、だと考えました。
しかしながら、私の場合はそれらに当てはまりません。
絵柄の幅はかなり狭いですし、どんな依頼内容であれ、常にクオリティを追い求めるような作風です。
こんなんで、はたして「サービスに優れる」ことは可能なのか? と。
はたして、
・顧客1人1人のニーズに応えて、商品やサービスをカスタマイズできる
と言えるのか? と。
ただ、ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略におけるサービスには、
・顧客に情報や知識を与える
という特徴もあります。
依頼者のニーズに合わせて、依頼者が気づいていない隠れたニーズ(=インサイト)を引き出すこともまた、「サービスに優れる」の1つではないか、と考えています。
例えば、MV用のイラストであれば。
依頼内容を伺った上で、言及がなければ、このように質問します。
「MVの構成を教えていただけますか? 曲の進行に合わせて背景や小物などのパーツを動かしたりしようと考えているのであれば、制作するイラストのキャンパスサイズを動画サイトの推奨比率より大きめに取ったり、パーツ分けして納品することができます。」
こういった、さり気なく気づきやインスピレーションを刺激する問いかけが、取引における経験価値を大きくする場合もあります。
また、原寸サイズのデータを渡す、というのもアリではないか、と思っています。
希望では1920×1080pxだったけど、2~3倍のサイズ(3840×2160~5760×3240px)で制作して、納品時に1つのアート作品として、観賞用の品として渡す、と。
すごく当たり前のことかもしれません。
ただ、依頼する側からすると、当然ではなかったりするのかもしれません。
以前、MV用のイラスト制作の依頼をいただいた際、上述のことをしたところ、取引終了前におひねり(追加の支払い)をいただきました。
依頼者のニーズやインサイトに寄り添いつつ、「そこまで求めていない」という不要さを感じる蛇足ラインを超えない程度の提供をする。
これもまた、「サービスに優れる」ことであり、その延長で「経験価値に特化する」に結びつくんじゃないかと。
また、これは仮説・検証段階の案ですが。
制作内容と予算の上限を提示することもまた、サービスの一環になりえないか、と。
つまり、「このくらいの依頼内容なら、このくらいの予算を見積もっておけば十分だ。あるいはそれより安くなる場合もある」という分かりやすさの提示です。
例えば、依頼内容が
・キャラクター(全身):1体
・背景
であれば、今の私の場合、2万円以下で承ります。
最安値は1.1万円ほどかと。
料金設定において、
・キャラクター(全身):10,000円~
・差分:500円~
・背景:3,000円~
・小物:1,000円~
と、「最低でもこのくらいします」といったような表記をされている方を多く見かけます。
すでに10件以上の依頼をされている中・上級者だったり、自分の依頼内容から「もしかするとこのくらいの金額になるかもしれない」と考えることができる方であれば、事前に余裕を持った予算を準備して相談するかもしれませんが。
そうではない方からすれば、どのくらいの金額になるか見込みが立たなくて、おずおず相談するか、別のイラストレーターと比較してみたりするのではないでしょうか。
サービスページなどで事前に、カテゴリやクオリティに応じた細かな料金体系の提示はできませんが、制作内容と大まかな料金事例を提示することで、依頼や相談の心理的なハードルを下げる、あるいはハードルを1つ取り除けるんじゃないか、と。
あくまで仮説・検証段階の案ですが。
結論として。
サービスとは、自分が依頼者のためにどんな提供できるか。
依頼内容に沿ってイラストを描くのは、至極当然です。
その、至極当然を踏まえつつ、「そこまで求めていない」という蛇足ラインを超えない程度に、「あ、こういうのもいいね!」「そういうのが欲しかった!」という感想を抱かせるか。
そこから経験価値として、取引を終えた時、依頼者にどんな気持ちになってほしいか。
「値段以上のクオリティだった!」
「すごく丁寧に、私のこだわりを形にしてもらえた!」
「以前よりもいい作品を仕上げてもらえてよかった!」
ココナラでは実績/評価のページに感想が載ります。
そこで1行だけ「この度はありがとうございました」と終わらず、2行、3行と書いてもらえたら、それだけ依頼者の気持ちが満たされる提供ができた、と捉えることができます。
経験価値もサービスも、いざ相談してみないと、取引を始めてみないと分かりません。
料金や絵柄、クオリティに比べれば、相談する前――サービスページを開いてから伝えることもまた、一工夫、二工夫が必要になります。
ストレートには伝わりにくいです。
その上で、いかに見積り相談や取引に結びつけるかが課題になります。
前回の記事から3週間ほど経って、その間にココナラのサービスページやプロフィールの見直しをしたり、書籍を読んだりとしてきましたが、まだまだ「これでいい」と思えるような答えには辿り着いていません。
なかなか難しいポジショニングをしようとしている気がめちゃくちゃありますが、これを形にできれば、今後の生涯におけるビジネスの幅が広がるんじゃないかと思っています。
そのためにも、今はただただ試行錯誤するしかないな、と。
そこそこ長くなりました。
内容としてはかなり粗削りですが、先々なにかしらの機会に読み直してブラッシュアップして、コンテンツとして発信するんじゃないかと思います。
では。