8月になりました。
先日、近所で打ち上げ花火があったらしく、1時間ほど重厚な炸裂音が鳴り響いていました。
とはいえ、風情ある娯楽を楽しむほどの余裕はない身の上で。
YouTubeで怪談動画を聴きながらイラストを描いていました。
さておき、週間報告です。
7月最終週から8月第1周にかけて完成・公開したイラストは、こちら。
7月下旬に実施した、『#RTしたVtuberさんを描く』のイラストです。
まずは1人完成。
残り2人です。
8月に入って、企画のイラストを描く傍ら。
ココナラのサービスページやプロフィールの見直しをしていました。
7月の前半あたりに大幅な見直しをしたんですが。
いっそ、もっとターゲットを絞り込んだ内容にしてしまおう、と。
基本料金の表記を5桁にしたら、さすがに「安い」では依頼されません。
私としても、「安い」という理由で依頼されたくもありませんし。
実験・検証という観点も踏まえて、コンセプトを重視した内容にしてみようと改めて、サービス内容からサンプル画像、ポートフォリオ、プロフィールまで見直しています。
それに当たって参考にしたのが、『競争優位を実現する ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略』という書籍。
価格、サービス、アクセス、経験価値、商品という、5つの要素のいずれかで差別化を図る、といったマーケティング戦略について書かれています。
この戦略で興味深かったのは、5つの要素のいずれか1つに特化して、1つに優れて、残り3つは標準に達すればいい、というところ。
言い替えれば、すべてにおいて優れている必要はない、ということです。
5点満点で例えれば、1つは5点、1つは4点、3つは3点になればいい、と。
では、価格、サービス、アクセス、経験価値、商品を測る基準はなにか。
かなりざっくりとですが、こんな感じです。
◎価格
・市場やカテゴリに対して、公正で適正な価格設定
・顧客にとって分かりやすく、シンプル、直感的に正しいと感じられる
◎サービス
・顧客1人1人のニーズに応えて、商品やサービスをカスタマイズできる
・顧客に情報や知識を与える
◎アクセス
・顧客が、求めている商品やサービスを簡単に見つけられる
・顧客とのやり取りのスピードや頻度
◎経験価値
・顧客への心からの気遣いの示し方
・商品やサービスだからこそ得られるなにかの提示
◎商品
・顧客が欲しがる、顧客に新しいインスピレーションを与える
・信用できて、役に立つ
では、イラストにおけるファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略とは?
ココナラで活動するイラストレーターに当てはめて、優れている、依頼されやすい特徴は?
ということを考えてみました。
◎価格
・ジャンルやカテゴリの中で平均的、あるいはそれより低い
・料金設定がシンプルで分かりやすい
・購入までのプロセスが手軽
◎サービス
・幅広い絵柄、様々なスタイルに対応できるタッチ
・制作するカテゴリやクオリティに合わせた料金設定
◎アクセス
・制作スピード、納品までの日数
・返答までの時間、速度
・営業力
◎経験価値
・取引の前中後における対応やサポートの柔軟さ、速さ、幅広さ
・料金以上の満足感、付加価値
他にも色々あるんじゃないかとは思いますが、とりあえず現時点で思い浮かんだのはこんなところです。
その上で、私のサービスはなにに特化して、なにに優れたものにするか。
結論としては、
経験価値に特化して、サービスに優れる。
さて、ココナラでは『イラスト作成』のカテゴリに限っても、4万以上のサービスが出品されていますが。
それらを購入者目線で見て、比較する上での優先順位をつけるなら、以下のようになると思います。
価格 > 商品 ≧ アクセス ≧ サービス > 経験価値
同時に、優先順位の高い要素ほど、それを求める顧客は多いんじゃないかと。
一言で言えば、「安くて、速くて、そこそこのクオリティ」。
逆に、私が特化しようと考えている経験価値の需要は少ないでしょう。
いや、かなり少ない、と言えると思います。
そもそもとして、経験価値は見えにくい要素、概念です。
かつ、顧客の主観や感情に強く影響されるため、サービスページに載せるサービス内容やサンプル画像では、初見の方には伝えづらいです。
突然ですが。
人気のある喫茶店は? コーヒーショップは? と聞かれたら、多くの人がスターバックスを挙げるのではないでしょうか。
外観も内装もオシャレで、豊富なメニューに、いわゆるSNS映えするようなデザインの容器。
とはいえ、値段は業界の標準、あるいは少し高い程度。
「安い」に当てはまらない価格帯ですが、それでも人気があるのは、スターバックスを利用する、そこで商品を購入することで得られる経験価値が高いからだと思います。
スターバックスのコンセプトは、『第3の居場所』。
自宅と、職場あるいは学校の間にある、3番目の空間。
店内は、少しでも非日常感を和らげるための工夫や配慮が施されていて。
商品は、SNS映えするようなデザインで話題性があります。
閑話休題。
経験価値はパッと見では分かりにくく、伝わりにくい要素です。
実際に手に取ってみないと、体験してみないと、それがどういうものか分かりません。
では、なぜ私が経験価値に特化するのか。
なぜ経験価値を重要視するのか。
第1に、1件当たり4万円以上の利益が到達目標だから。
第2に、「安くて、速くて、そこそこのクオリティ」や「依頼者の欲しいイメージをイラストにするだけ」は競合相手が多すぎるから。
第3に、「とりあえず描いてもらえればいい」という依頼者とは取引をしたくないから。
理由の1つ目、1件当たり4万円以上の利益が到達目標、について。
ココナラはあくまでtoCの市場です。
つまりコミッション、個人間取引がメインです。
個人で4万円以上となると、かなり高い金額になります。
私のココナラでの最高販売金額は、42,000円。
すでに1件当たり4万円以上の取引を経験してはいますが。
内容は一枚絵1枚と、キャラクターデザイン4体分。
手数料が22%引かれるため、実際の利益は32,760円。
そしてなにより、取引相手は企業の方でした。
では、個人の方の場合。
最高が20,400円。
一枚絵1枚で、での金額です。
それまで2万円以上の売上はありましたが、内容は複数枚のイラストの制作。
個人の方との取引で、1枚で2万円以上の売上を出したのは、今年に入ってからです。
そして手数料22%が引かれて、利益は15,912円。
その2.5倍以上の利益にするには、4万円以上で納得できるだけの材料が必要になります。
実績で言えば、元々企業勤めのイラストレーターの経歴を持っていたり、企業案件の実績が豊富だったりと様々ありますが。
私の場合はそういったものがありません。
画力にしても、クオリティが最重要視されているわけでもなくて。
ハイクオリティを謳っているイラストレーターは多数います。
だとしたら、4万円を超える満足感の提供で勝負しようか、と。
2つ目、「安くて、速くて、そこそこのクオリティ」や「依頼者の欲しいイメージをイラストにするだけ」は競合相手が多すぎる、について。
思うに、これらで依頼されるのは先行者くらいじゃないかな、と。
いや、後発者でも依頼されることもあるかと思いますが、継続性はまったく違うと思います。
特に「依頼者の欲しいイメージをイラストにするだけ」は、クオリティの違いこそあっても、代替が効きます。
Aさんのスケジュールが合わないならBさんにお願いしよう、ってことですね。
あるいは、Aさんは1万円だけど、Bさんは5000円だから、Bさんにしよう、ってなるわけで。
これだとリピートなんてもらえないでしょうし、新規ですら、もっと条件のいい方に流れていってしまいます。
先行者の場合、クライアントとの信頼関係を築いていますし、実績や口コミなどでさらに取引先の拡大が見込めます。
そして、取引と実績を重ねていく内になにかしらの付加価値もついていくはずです。
すでに競合が多数いる宣伝文句や、誰にでもできる程度のスキルで勝負するのは無意味だな、と。
3つ目、「とりあえず描いてもらえればいい」という依頼者とは取引をしたくない、について。
これはココナラに評価システムがあるからかもしれませんが。
ココナラで評価の欄に書かれた感想は、私にとっては貴重な財産です。
購入者様が私との取引でどんな点について満足されたかが書かれますし、新規の方に向けた、私の取引の雰囲気についてのメッセージになります。
だから、ココナラでは評価欄に書かれる感想は重要視しています。
これまで評価の記入をされなかったのは、憶えている限り1、2人くらいですが。
なんというか、むなしくなってしまいます。
イラストを必要最低限描いてもらったらそれでいい、というのを、なんとなく感じてしまいます。
もしかしたら、なにか事情があって素っ気なく終わっているかもしれませんが。
ただ、これまでココナラで取引してきた方々の9割以上が、取引終了後に評価欄に感想を書いてくれて。
時には5行くらい書かれる方もいて。
そういう人のためにイラストを描きたいな、と。
自分の作品が好きで、こだわりがあって、そのためのイラストにお金を費やせるような人と、取引したいな、と。
あくまで20と数件の経験則ですが。
そういう人ほど、熱を感じるといいますか、本気で自分の作品に向き合っている感じが伝わってきます。
すると、自然と、限られた時間の中で、できるだけのことをしてあげたい、って思えてきます。
経験価値は見えにくい、伝わりにくい。
その上で、いかにして依頼に結びつけるか、というのが課題として上がってきます。
それについては色々やりようが思いつきますが、今は割愛します。
そして経験価値の提供としての具体的な内容ですが、基本的には「依頼内容に沿いつつ、金額を超えるくらいの提供をする」です。
具体的な、と言いつつ、具体的ではありません。
むしろ、具体的に、一概に言い切れるものではないんじゃないかと。
というのも、どんな提供をするかは、相手によりけりです。
希望のイメージがかなり漠然と、それこそ単語が両手で数える程度しかないくらいの情報量なら、深掘りした上で「こんな案もありますが、いかがですか?」と提案したり。
「そこまでしてもらっていいんですか?」と思うような、利益度外視なことを自己犠牲にならない範囲でやってみせたり。
ただ、なにか1つ、予想の斜め上なことをどかんとやるんじゃなくて、小さな気遣いをことあるごとに差し込んでいく、みたいな。
些細で地道な提供をしていくのが、経験価値として、金額以上の満足感として形になると思います。
なると思うというか、実際、これまでそんな感じだったので。
経験価値については、こんなところです。
続いてサービスについて書こうと思いましたが、だいぶ長くなったのと、時間をかけすぎたので、中途半端ですがこのあたりで切り上げます。
ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略に基づいたサービスの見直しは当面の課題なのと、もしかしたら将来コンテンツにできる話になるかもしれないので、別記事で書こうかと思います。
では。