ホムンクルスと聞くと、あなたはなにを想像するだろうか。
ホムンクルスについて、あなたはどんなことを知っているだろうか。
もし、『フラスコの中の小人』という言葉が出てきたのなら、きっとあなたは『鋼の錬金術師』という作品を知っているに違いない。
ホムンクルス(Homnculus)とは、ラテン語で『小人』を意味する単語だ。
ヨーロッパの錬金術師が作り出す人造人間、およびそれを作り出す技術のことを指す。
ホムンクルスは生まれたときから知識を身につけており、フラスコの中でしか生きられないという一説がある。
私、長月夜長もまた、ある意味ホムンクルスだと思っていたりする。
わけあって、私はここ1年無職――つまりニート生活を過ごしている。
それなりに社会人経験を積んだあと、体の病気を治すために仕事を辞めて早1年。
都会と呼んでもおかしくない地域から、頭に『ド』がつく田舎の実家に戻ってきて、これまた1年が経とうとしている。
家から最寄りのコンビニまで歩いて20~30分。自転車なら10~15分程度と、周りになにもなさすぎて引きこもり状態になった。
人としてそこそこ雑多な知恵や知識があって、なおかつ引きこもり状態。
これをホムンクルス――フラスコの中の小人と言わずしてなんと言えよう。
――雑多な知恵や知識がはたして人様の役に立つかどうかはさておき。
そんなニート街道まっしぐらな私だが、ただのうのうとニートライフを満喫しているわけではない。
むしろ焦りを感じている。
実家生活を始めた当初は、体の異常を治すことばかり考えていたものの、それは半年ほどで終わりを迎えた。
いや、ある程度想像はしていた。
体の異常が治るのに、半年から1年くらいかかるだろうと、薄らぼんやりとだが推測もとい憶測を立てていた。
それは見事に当たった。
半年もすれば、体の異常は8割9割収まりを見せた。
そこから、私はこれからどうするべきか考えた。
仕事を辞める前、給料以外でも金を稼ぐ方法を勉強していた。
とはいえ、金を使って金を増やす。そんなやり方ばかりを模索していた。
どのくらいだと思う?
……5年だ。
5年もの間、あたかもギャンブル染みた方法で稼げるようになりたいと、心の底から、本気で目指していた。
しかしだ。
しかし5年かけてもものにならなかった。
無職となった今。
ろくな収入源もない今。
そんなことはやっていられない。
ネットビジネスというものにもなんとなく手を出してはいた。
しかし、アドセンスやら商品紹介やらといったものもまるで続かなかった。
5年かけて探究した金稼ぎについて、情報コンテンツでも出そうかと思ったものの、実績すら出していない私がなにを提供できようか。
仮に提供できるものができあがったとしても、はたして誰かに金を払ってもらえるだろうか。
どうやら私は、その手のことに不得手らしい。と思った。
いや、単なる努力不足なのかもしれないが。
もう手詰まりになったころ。
確か2019年の6月だ。
私はなにを思ったか、小説を書き始めた。
ジャンルは現代ファンタジー。
学校の形をしたモノトーンに染まる空間で、十数人の高校生たちが奇妙な姿の敵と戦うというもの。
その作品は20万字弱――およそ小説1冊相当を書いて完結させた。
しかしながら思いつきと勢いで書いたために、いわゆる短編連載みたいな長編ものとなってしまったが。
それから小説の書き方を勉強した。
小説とはなにか。どういうふうに物語を作り上げればいいか。昨今どういった作品が売れているのか。……などなど。
今では小説を書くのが日課になった。
そして、いつしか自分の作品を出版してみたいとも思っている。
細かい話は割愛するが、今の時代、個人出版は当たり前になっている。
例えばAmazon。
世界屈指の通販サイトだ。
それでいて、多岐にわたるサービス提供をしている。
電子書籍にビデオ、音楽……。
その中の電子書籍に関するサービス、『Amazon Kindle』では、個人の書籍の出版が可能になっている。
書籍として出版するとなれば、新人賞の応募や小説投稿サイトのランキングに乗る、などといったやり方があるものの、本冊子としての形にこだわらなければ、電子書籍での出版でもいいと私は思っている。
現に、Kindleで並べられている書籍の中には、多数の個人出版作品が混ざっている。
Kindleでの個人出版が始まってもう数年。
個人出版の環境は整っているといっても過言ではない。
誰かがやっているなら、私にできてもおかしくない。
とりあえず、ホムンクルスの脱ニートのための目標として『電子書籍の出版』を挙げる。
しかしそれだけではろくな収入にならないことは調べつくしているつもりだ。
小説を書いているうちに、「自分の作品の表紙や挿絵を自分で飾りたい」という欲が出てきた。
ペンタブレットを手に入れた、というのも絡んでいる。
『小説を書いて、イラストを描いて、それらを合わせて自分の商品として世の中に出す』
それにイラストを描けるとなると、やれることが増える。
イラストレーターは今や国内外問わず需要があると見ている。
企業のオファーに限らず、SNSやブログ、YouTubeのアイコンやバナーといった個人の依頼もちらほら見られる。
どう見たって、可能性はある。
ホムンクルスが脱ニートをするための可能性が。
それでは目標2つ目。
『なにかしらのイラストレーターになる』
はたしてそれでまともに脱ニート達成なるか、といえば今は判然としないものの、なにもせずに日々を過ごすよりかはマシではないか、と思う。
そんなわけで当ブログでは、ホムンクルス(引きこもり)が脱ニートをするまでの日々の出来事や思ったこと、考えたことを綴っていきたい。
以下は活動サイトのリンク。
●カクヨム